中級・上級になるためには


どうすれば中級・上級?

さて、これでいかに中級上級が難しく、多くの人がボキャブラリーや構文などの知識に一方的に偏った学習方法を取っていると何年も伸びが停滞するレベルであることを理解されたのではないでしょうか?

この難しさの根源は、実践的な英会話の特徴である、1)徹底した意味分解、2)発話の徹底した論理構成、の2つを英会話で実現するために、日本語の発話そのものから変化させて行かねばならない、ということにあります。

だからといって、日本語の発話のトレーニングをしたのでは英語を学ぶことにはなりません。やはり、英語を通して訓練して行く以外にはないでしょう。この訓練のポイントとして、関係代名詞、前置詞、to不定詞、動詞、構文、接続詞をただ闇雲に知識として積めこむのではなく、1)意味分解、2)発話の論理構成、の二つに分けて、その使用法を適切にマスターすることが非常に重要になります。これを詳しく見てみましょう。

1)関係代名詞、前置詞、to不定詞、動詞

中上級の伸びはいかに漠然とした日本語を適切に意味分解するかにかかっています。これを行うためには関係代名詞、前置詞、to不定詞、動詞を的確に使うことがたいへん重要になります。それぞれ分けて具体的に説明します。
 

A)関係代名詞

よく学校の英語教育では「関係代名詞は二つの文を一つにするときに使用する」などと習います。例として下のような文が学校で使う教科書にあります。

I saw a man. He is my friend.

関係代名詞による合体
I saw a man who is my friend.

こんな風に習わなかったでしょうか?確かに文法から見るとその通りでしょう。でもどういう状況で「二つの文を一つにする」ことが必要なのでしょうか?

日本語の文で「意味分解」が必要となるものには熟語を含む名詞が圧倒的に多いのが実状です。特に日本語では、「スッキリした人」「べたっとした人」「変な感じ」など、印象や気持ち、また「四文字熟語」「三文字熟語」などの表現では要約的な名詞を使用します。当然、これを意味の通る英文にするためには意味を詳しく分解し説明しなければなりません。これを一つの英文で行うためには関係代名詞の使用は避けて通れないのです。下に具体例を示します。
 

日本文(若いOLの会話)
私は甘えている男は大嫌いなのよ。

日本語英語
I really don't like caressive man.


私は愛撫男は大嫌いなの。

これではまったく意味が通りません。「甘えている男」は意味分解しないとまったく何を言っているのか理解できません。そこで関係代名詞を使い次にように分解します。

普通の英語
I really don't like men who always depend on other people and ask someone for a help.


私は、人に依存していていつも人に助けを頼んでばかりいて男は大嫌いなの。
 

もう一つ例を見ます。
 

日本文(会議の発言)
この件に関しましては、プロジェクト関係者全員の同意が必要となります。

日本語英語
As for this case, we need agreements of all project related people.


この件に関しましては、全プロジェクト関係人々の同意が必要となります。

普通の英語
As for this case, we need to have agreements of all people who are involved in this project.


この件に関しましては、プロジェクトに関わっているすべての人々の同意が必要になります。
 

このように、関係代名詞は、名詞化した日本語の概念を細かく分解し、一文で表現するときによく使います。言い換えれば、関係代名詞は意味分解のツールであるといったもよいかもしれません。上 の例文は「we need agreements of all people」と「people are involved in this project」の二つの文になります。確かにここでも関係代名詞によって二つの文が結合されていますが、「二つの文を一つの文にする」ということに関係 代名詞を使用するポイントがあるわけではなく、これを使うことによって発話の内容が細かく説明され分かり易くなりことにポイントがあります。

また、日本語の文は「ここ間、2年間一緒に暮らした彼と別れたの」「僕は3年前兄からもらった古いコンピュータをまだ使っているんだ」の ように、関係代名詞を使用しなければ英語にならない表現が圧倒的に多いにも事実です。関係代名詞の適切な使用法をマスターするならばこうした日本語は英語 になりやすくります。

B)前置詞とto不定詞

関係代名詞の、意味分解の便利なツールであるという特徴は「前置詞」と「to不定詞」にもそのままあてはまります。むしろ、「前置詞」と「to不定詞」のほうがこの特徴を強く持っていると言えるかもしれません。下に具体例を示します。

日本文(会議の発言)
近頃の10代の青少年は、大人っぽい派手目のデザインよりも機能的でシンプルなものを強く好むようですね。

日本語英語
Recent low teens prefer more functional and simpler designs than adult and loud items.


近頃の10代の青少年は、大人派手デザインよりも機能的でシンプルなものを好む。

普通の英語
Recent low teens prefer more functional and simpler designs than over-decorated items with lots of extra accessories.


近頃の10代の青少年は、多くのアクセサリーを用いて過剰に装飾されたデザインよりもより機能的でシンプルなものを好む。

この例文の場合、「大人っぽい派手目の」が「over-decorated items with lots of extra accessories」に分解されています。ここでは前置詞が多用され、これの意味が細かく適切に説明されているのが分かります。このように、前置詞も関係代名詞と同じように、「名詞化した日本語の概念を細かく分解し、一文で表現する」ときに多様するツールとしての側面を強く持っています。

to不定詞にもこれと同様のことが言えます。分解した内容の違いによって、「前置詞」と「to不定詞」を使い分けます。下の例を見てください。

日本文(ビジネスプレゼンテーション)
という言葉はかっこ悪さの表現です。

日本語英語
"Hen" is a expression of not sleek.


'という言葉は、艶のない表現である。

普通の英語
"Hen" is a word used by Japanese to express the feeling of being out of place.


'
'という言葉は、日本人が場違いであるという感情の表現として使う言葉である。
 

この例では、to不定詞は前置詞とともに使われ、言いたい内容がはるかに鮮明になっています。このように「to不定詞」は、動詞を使用した意味分解に多用されますので、日本語の名詞の分解には非常に大切になります。
 

C)動詞

「前置詞」は名詞を結合して日本語を細かく分解して行きますが、「関係代名詞」や「to不定詞」の使用には動詞が不可欠になります。動詞がいかに適切に使えるかで意味分解の成否が決まります。上の例であれば、「depends on」「be involved in」「express」などがこれに当たり、また、前のページの例であれば organize」「be outdated」などがありました。これらの動詞を適切に使用することで、「甘えている男」「プロジェクト関係者」「かっこ悪さの表現」などの名詞化した日本語の概念が適切に説明されます。

多くの方は語彙を学ぶとき、名詞や、会話で使える常套句を大量に学ぶ傾向がありますが、意味分解を行うことを考えると、実際に学ばなければならないのは動詞であることが分かります。

例えば、

札幌は政令指定都市だ

といいたい場合、「政令指定都市」を辞書で調べると「cabinet-order designated city」とあります。この名詞をマスターし、
Sapporo is a cabinet-order designated city
と言ったところで、「政令指定都市」と同一の制度がない外国人との会話では、説明しない限り何のことを言っているのか分からないでしょう。cabinet order」には「施行令」や「内閣の命令」、そして「designated」には「指定済みの」の意もありますので、へたをすると「内閣の命令指定済み都市」となり、何のことを言いたいのかぜんぜん分からなくなります。これを避けるためには、
Sapporo is a city that
was designated bythe Japanese government to be the polotical and economical center of Hokkaido

くらいに分解する必要があります。

この文では「be desugnated by」が動詞として使われています。したがって、日本語に一見合うように見える名詞を大量に覚えるのではなく、意味分解に使用できる動詞を大量にマスターする必要があります。

例として示しますが、以下の動詞は意味分解にとって大変便利で、また多用されるのでマスターしておきたいものです。

deal with 

に対処する

organize, be organized by 

組織する、まとめる、組織される、まとめられる

 initiate

始める、着手する

realize, be realized by

実現する、によって実現される

perform, be performed by

とり行う、演じる、演じられる

utilize, be utilized by

活用する、活用される

compile

まとめる

implement

実行する、実施する

  3)構文、接続詞

関係代名詞、前置詞、to不定詞、動詞が意味分解のツールでるのにたいし、構文と接続詞は発話の因果関係や論理関係を明確にし、発話を分かりやすくまとめるためのツールです。構文や接続詞がまったくない場合、意味が不明確になることがよくあります。これを見てみましょう。

日本文(主婦の愚痴)
主人が今の会社で働いている限り、まず家は建たないわね。

構文の使用
As long as my husband is working at a present company, I don't think we would be able to own a house.

この文からすべての構文と接続詞を抜かしてみましょう。

構文、接続詞を排除した文
My husband is working at a present company. I don't think we would be able to own a house.

上のas long as,...する限り」の構文を使った文と比べると、この文では二つの文の間の関係が不明確で何を言いたいのか理解しかねます。日本語であれば主人が今の会社で働いていると、まず家は建たないわね。くらいで十分でしょうが英語ではなかなかそうは行きません。

またこれをMy husband is working at a present company. So I don't think we would be able to own a houseとして、ここでは不適切なsoを使っても意味の不明確さにはあまり変化がないでしょう。適切な構文や接続詞を使わなければなりません。

こうした、構文や接続詞を使用しなかったり、また、その不適切な使用が大きなコミュニケーションのトラブルの原因をなることもあります。

本来言いたい事(ビジネスの重要な会議で)
この新商品は新しいデザインを採用しているますけど、価格は少し高目ですね。ですが、日本の市場に関してはこれで行けるのではないでしょうか?でも価格を安く出来るなら良いですね。

日本語英語
This product is adopting a new design. But it is too expensive. But it might be good for Japanese marlet with this price. But we should lower the price.


この新商品はデザインは新しいデザインを採用している。だが高すぎる。しかし日本市場にはこの価格でも良いかもしれない。だが価格を安くすべきだ。

これでは「日本では売れる」なのか「価格を安くすべきだ」と言いたいのか分かりかねます。...に関しては」を表す適切な接続詞「in terms of」や「regarding」「when you think about」、さらに「even with」を使うと一気に意味は明確になります。

普通の英語
This product is adopting a new design. In terms of the price, it might be too expensive. Of course it's better to lower the price, but when you think about Japanese market, it might sell quite well even with this price.


この新商品はデザインは新しいデザインを採用しています。価格をみると高目かもしれません。確かに価格を下げたほうがよいですが、日本の市場を考えるとこの価格でも良く売れると思いますよ。

意味内容がはるかに明確になるのではないでしょうか。もし、上のような日本語英語だけでしたらビジネスでは混乱を招く場合もあるかもしれません。

このような意味で、構文と接続詞の適切な使用は、因果関係や論理関係を明確にし、発話を分かりやすくまとめるためのツールとなります。


以上長く説明してきました。意味分解し、話しの内容を整理して行くためにはこれらのツールは不可欠です。そしてこれらを1)意味分解、2)発話の論理構成2点において適切に使用し、これらの形式に合致した発話の構築を訓練する過程で日本語の発話そのものが次第に変化し、これらのツールを十分に使いこなすことが出来るようになってきます。

しかし、これは私達が日ごろ使っている日本語が変化するのですから、使うほうの私達の意識にも大きな影響力を与えます。つまり、意識が英語の学習によって変化するのです。

次に、どのように私達が変化するのか詳しく見てみましょう。


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