英文ライティングのコツ


英文ライティングには何が必要か?

電子メールの普及などによって、英文のライティングは必要不可欠な日々の業務になりつつあります。一方、英語の文章を思った通りスラスラと書ける人はかなり少ないのが現状でしょう。外国から来た電子メールに思ったように返事が書けず、歯がゆい思いをしたことはないでしょうか?

では、基本的な内容を英文でスラスラ書けるようになるためには何が必要なのでしょうか?たくさんの語彙でしょうか?文法でしょうか?または慣用表現の豊富な知識でしょうか?

英文を書くにあたって、これらの知識が全部必要であることは間違いありません。特に、文法の知識はなくてはならないものです。文法は、文に意味を持たせる基本であり、英文を書くにあたってもっとも重要です。

しかし、反対に、これらの知識が豊富にあれば英文がスラスラ書けるか、というとそういうわけには行きません。たとえ語彙力があったとしても、また文法の知識が豊富にあったとしても、そして慣用表現を多数知っていたとしても、何をどう書けばよいか分からず、辞書を引き引きオフィスのコンピュータの前で考え込んでしまうこともままあるのではないでしょうか?

実は、伝えたいことを的確に英文で書くためには、上記のもの以外のルールを習得することが重要になるのです。


英文で「書く」ということ

日本語でもそうでしょうが、特に英文では、それも業務で書く場合、それは書き手の感情や思いを相手に分かってもらうことを目的に書くのではありません。ビジネスでは、コミュニケーションがスムーズに行くように、こちらの情報を的確に、そして誤解がないように相手に伝えることを目的にしています。

つまり、ビジネスで必要な「英文のライティング」は、私たち日本人が「書く」という言葉から自然にイメージするような情緒的なニュアンスはありません。反対に、それは伝えたいことを的確にまとめるための情報処理技術である、ということなのです。あえて英語で書くときは、文化や価値観が異なる人たちとコミュニケートすることを目的にしています。ですから、英文ライティングのはずせない基本として、誰でも分かるように、分かりやすく、具体的にものごとを書くことが至上命令になります。

そして、このようなことを実現するためには、的確に情報を処理するための高度な技術が必要になるのです。

ところで、語彙や文法、そして慣用表現は、上記のような情報処理にはなくてはならない基本であったとしても、これらがそのまま処理のスキルになるわけではありません。つまり、語彙や文法、そして慣用表現の知識があったとしても、適切な情報処理の技術が実践出来なければ伝えたいことをうまく表現することはできません。

ではこうした情報処理の技術とはどのようなものなのでしょうか?詳しく説明しましょう。


英文のルール

ステップを追いながら、この情報処理のスキルを説明しましょう。

日本語でもそうでしょうが、英語という言語にも「語」「文」「段落」のそれぞれ異なったレベルが存在します。これは、それぞれのレベルで異なったルールが存在し、英語全体を作っていることを示しています。それらは次のものです。

レベル ルール   内 容
語のレベル 語と語の結びつきのルール
文のレベル 文レベル規則 ナチュラルな文のルール
段落のレベル  段落規則 「起承転結」のような段落結合のルール


語のレベル

語と語がどのように結びつくのか定めるルール。主語の後にはかならず動詞が来るというように、いわゆる文法と言われている規則がこれにあたります。ただし、文法の知識があったとしても、「文のレベル」と「段落のレベル」の規則をわきまえていないとうまく書くことは難しいでしょう。


文のレベル

文のレベルには、どのような文がナチュラルであるのか定める規則があります。しかし、間違えてはならないのは、これはいわゆる文法ではない、ということです。文法的には正しくても、文レベルの規則に違反していために、非常に読みにくく、内容が通りにくい文が多数存在します。ここで例を一つ見てみましょう。

文レベル規則にはいくつかのルールが存在します。その中に次のようなものがあります。

語句処理の優先順位

1)名詞処理
名詞の冒頭に名詞をくっつけて内容を処理できるのであればそうします。一番単純な文章になるので。ただし、つなげる名詞の数は原則として2つ以内にし、これより多い場合には前置詞処理をします。

2)前置詞処理、不定詞処理および動名詞処理
形容詞処理ができなければ前置詞、不定詞でうまく処理します。

3)
関係代名詞と関係副詞の処理
前置詞や不定詞でうまく処理できないときに始めてthatwhichwhatなどを使います。

さて、次の三つの英文があったとします。どの英文も文法的には正しいものです。

日本文)我々はIBMのコンピュータを購入した。※purchase - 購入する

1) We purchased computers that are made by IBM.
2) We purchased computers of IBM.
3) We purchased IBM computers.

当然、文全体の内容や文脈の意味にもよりますが、これらのどれも文法的に正しい文章です。一般的には、このうち3)がもっともナチュラルな文と見なされます。1)は「that」の関係代名詞を使い、2)は「of」の前置詞を使っているのに対し、3)は上記の「IBM computers」と「名詞処理」をし、もっとも優先順位の高い規則が適用されています。この結果、3)がもっともナチュラルな文と見なされます。

したがって、文法的に正しければなんでもよく、書きたいことの意味が自然に通る、と考えるのは間違いです。文レベル規則をわきまえないと、文法的には間違いがなくとも、意味がほとんど通らない文が多数出来上がることになってしまいます。


段落のレベル

文には、記事、論文などさまざまな種類がありますが、どの文もパラグラフ(段落)を結合させて出来上がっています。段落はいくつかの文の結合体ですが、文章全体はパラグラフの結合体です。パラグラフが相互にどのように結び合い全体の文章を構成するべきか、その基本的なルールの水準がこのレベルになります。日本の「起承転結」にあたるものはこのレベルのルールです。

たとえばルールには次のようなものがあります。

演繹
帰納
列挙
比較対象
因果関係

意味の発生

英文ライティングは、誰でも分かるように、分かりやすく、具体的に書かねばなりません。ところで、文章の意味は、上の         @語のレベル(文法)         A文のレベル(文レベル規則)B段落のレベル(段落規則)の三つの異なったレベルから同時に発生します。これは、語のレベルで正しい文法で書いたからといって、文レベル規則や段落規則を無視した文であれば意味が通りにくく、反対に文法が間違っていても、文レベル規則や段落規則をしっかりわきまえていれば意味だけは通る文になる、ということを示しています。つまり、文章の意味は三つのレベルから同時に発生するので、上位のレベルがしっかりしてさえいれば、意味は何とか通ることということを示しています。当然、これらすべてのレベルでしっかり書くことが重要ですが。

以下でこうした間違いのバリェーションを見てみましょう。特徴をはっきり出すために、普通ではなかなかお目にかかれないほど極端な例をあえて選びました。

文法は正しくても文レベル規則に違反した文(日本人に多い間違い)

これは日本人の書く英文にもっとも多いパターンです。日本の学校の英語教育では、すべての間違いが文法と語彙へと解体されて理解されるので、こうした文が非常に多くなります。文法と語彙させ間違っていなければ何でもよい、というものです。

日本人の書く英文

We surveyed companies which are making computers in the States to find a candidate which is ideal for our business partner. 

この文には、文法的に問題となる個所はありません。文法的には正しい文です。

しかしこの文は、「文レベル規則」、特に上で簡単に説明した「語句処理の優先順位」に完全に違反しています。つまり、英文としては不自然である、ということです。「companies which are making computers」や「candidate which is ideal」は「which」の関係代名詞を使っていますが、ここでは関係代名詞を使う必然性がありません。それぞれ「computer companies」、「an ideal candidate」と名詞化して処理します。

このような、文法的には正しくても「文レベル規則」に違反した文がどのように不自然であるか理解してもらうために、この文をネイティブならどんなニュアンスで読み取るか見てみましょう。

ネイチェィブが読み取る文の訳

我々は、理想的であるところのビジネスパートナーを探すために、アメリカでコンピュータを作っているところの会社を調査しました。

こんな感じの文が延々と続くような文であれば、読み手は文章全体の意味を見失ってしまい、文が何を言いたいのか意味を読み取ることは困難になるでしょう。

このように、どんな文章であっても、この教科書で後に詳しく説明する「文レベル規則」に違反していれば、上記のような読み取り困難な文になり、意味が失われてしまいます。

文法は間違っていても文レベル規則は正しい文
(どちらかと言えばネイティブに多い間違い)

次に、こんどは上とまったく反対の例を見ましょう。これはライティングをあまり訓練していないネイティブに多い例です。

We survey some computer companies to finding an ideal candidate for our business partner in the States.

この文章は「赤」で示した部分の文法が間違っています。文の意味として「survey」は過去形か未来形になるべきでしょうし、また、「to不定詞」の後には動詞の原形が来るので「to finding」は「to find」の間違いです。

しかし、文全体の意味としてはどうでしょうか?次にこの文がどんな意味になるのか見てみます。

ネイチェィブが読み取る文の訳

我々は、理想的なビジネスパートナーを探しながら、アメリカのコンピュータ会社を調査する。

文法の間違いはあるので、少し変な文にはなっています。ですが、文としての意味はかなり明白に通じているのではないでしょうか?

このような、「時制」や「不定詞」などの文法的なミスが続く文は好ましくないのは当然です。ですが、たとえ文法上の間違いがあったとしても、英文そのものの意味はなんとか通ることが多いのです。相手にこちらの意を的確に早く伝えなければならないビジネスライティングでは、特に外国人の書いたメールなどにこうした文が多いようです。

反対に、いくら文法が正しくても、「文レベル規則」に違反した文であれば、意味が伝わることがなく、コミュニケーションのツールとしての役割は果たさないでしょう。

文法や文レベル規則は正しくても段落規則に違反した文

長文のレポートなどで時折見受けられるものとして、文法や文レベル規則は正しくても段落規則に違反するパターンを時折見かけます。このパターンでは、語や文のレベルは正しくても全体の内容をまとめる段落規則に違反しているので、個々の文の意味はよく理解できても全体的には何を言いたいのか分かりにくい文章が出来上がります。読者のみなさんもこのようなレポートや文章に一度はお目にかかったことがあるのではないでしょうか?

段落規則は正しいが文法や文レベル規則に違反した文

これはちょうど上の反対の例です。文法や文レベル規則に違反しているものの、段落全体の構成はよくまとまっているので、個々の文では意味がはっきりおとしないものの、文章全体を読むと何が言いたいのか意味は非常に明確です。


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